これまでのロボットサッカー短期講座に出てくれていた子たちのうち、「もっと長い期間、本格的にロボット工作とプログラミングに取り組んでみたい!」という意思のある5人の小学生たち。
長期講座に進むことを決断してくれ、7・8・9月と、今日までに3回の講座を行ってきています。技術力はもちろん、仲間や先輩とのコミュニケーションスキルも、メキメキ上昇中のみんな。
年明け 2025年1月には、ロボカップジュニアの高山地区大会にも挑戦します!
本記事では、長期講座の導入部にあたるこの3回の講座を振り返っていきます。
目次
7月講座 – TJ3B を説明書通りに組み立ててみよう!
これまでの講座では、貸し出されたロボットに対してプログラミングをするだけでした。なので、パソコンのソフトと向き合っている時間がほどんど。
でもそれだけでは、機械や電気の仕組みを学べません。今日からは、ロボットのキットを、説明書通りに組み立てることに挑戦します!
使うのは、大阪の会社 ダイセン電子工業さんが出しているロボットプログラミングキット TJ3B。
初心者にも扱いやすい PIC マイコンとそれに対応したプログラミング用ソフトがついており、また、頑丈な FR4基盤でできていて拡張性も高いので、最初の1台にピッタリ。
(長期講座では、一度組み立てた TJ3B を、今度は壊して改造していくので、丈夫さが大事です😆)
LEGO などのキットと違ってかなりお手頃に入手できる価格であることも有り難い限りです。
人によっては、はじめて触るラジオペンチやドライバーと大格闘。だけど、徐々に道具の使い方にも慣れてくると、それぞれとても器用に作業を進められるようになってきます。
TJ3B にはしっかりとした組み立て説明書も入っており、それをじっくりと読み込みながら進める子、一瞥もせずに勢いで組み立てていく子… 進め方も個性豊かなみんな(笑)
細かいパーツを整理しながら使うのは、やっぱりみんな苦手なよう。パーツの紛失が続出します。
机の上の整理整頓は、作業の効率にも関わってきます。ちょっとずつ慣れながら学んでいこうね!
2年目の先輩たちも、作業の合間にときどき手を止めて後輩たちの様子を気にしてくれました。
細かな部品も整理して持ち歩いていて、経験値の差を感じますね!
8月 – 組み立てた TJ3B をプログラミングしてみよう!
この日は、前回なんとか仕上げた標準仕様の TJ3B を自分のパソコンと繋いで、プログラムを入れていきました。
短期講座で習った、サッカーのプログラム。みんなどこまで覚えているかな?
先生のお手本をじっと眺めて読み解きながら、自分で組み立てたロボットにも、動きを吹き込んでいきます。
さぁ、できた!コートで動かしてみよう!と思ったら、…あれ?
センサーがうまく反応しない。モーターの動きがおかしい。なんで〜??
自分で組み立てたロボットは、少しでもねじやナットの締めがゆるかったり、ケーブルの接続方向がおかしかったりすると、意図した通りに動かせません。
いくつものパーツが重層的に構成されているので、最初の方に少し手を抜いた部分は、ほとんど分解してやり直ししなくてはいけない状況に。。。
ロボットを動かすまでの道のりの長さにパニックに陥る子どもたちと、そんなことは折り込み済みで、「頑張って〜」と笑顔で見守るちゃみ先生(笑)
目の前のことだけでなく、先々のことも考えながらていねいに作業を進める大切さ、少し学べたのではないでしょうか。
そんなこんなを経て、全員、なんとか自分たちのロボットを動かすことができました!
既製品のキットとはいえ、自分の手で組み立てたロボットが、自分で書いたプログラム通りに動く瞬間は、喜びもひとしお。感激を噛み締めながら、さっそくサッカー対決に勤しみます。
一方、先輩たちは、談笑しながら落ち着いて作業の手を進めます。
2年目の継続生が多くは中学生となり、学校の部活や宿題、塾などとの両立を頑張っている子も多いようです。「そんなに忙しい毎日の中で、ロボットクラブって、どういう場所なの?」って聞くと、「息抜き!」という回答が返ってきました。
よく、塾や習い事のように勘違いされる高山ロボットクラブ あそぼろっと!ですが、実際は、好きなことに自分のペースで挑戦するための後押しの場でしかありません。
月に1回でも、息抜きの場を提供できていることに、喜びを感じた瞬間でした。
去年は恐々だったはんだごても、今ではすっかりコツを掴んで楽々扱っています。
先輩たちの姿も、1年目の後輩たちに刺激となっていることでしょう。
9月 – 改造の計画を立てよう!
さて、前回までに説明書通りに組み立てたロボットを、動かすことはできました。
いよいよ、これを壊して自分だけのロボットに改造していきます。ここからが、この講座の本番です!
改造計画を立てるにあたって、先生から「ロボットを強くするには、どこをどうすればいいと思う?」という投げかけがありました。
さすがのみんな、色々な意見が次々と飛びててきました!
「タイヤを変えて、速くする!」→ そうそう、でもタイヤの直径だけじゃなくて、モーターの回転数も大事だよね。
「ボールを探す目をよくする」→ ボールに反応する赤外線センサーが、前だけじゃなくて左右や後ろにもあったら、どんな動きができると思う?
「電池を足して、電源を増やす!」→ TJ3B には 7.5V までの電源を与えられるよ。さて、この乾電池は何本まで乗せられるかな?
プログラミングももちろん大切だけど、ロボット改造によっても、いろんなアプローチでサッカーを強くしていくことができます。そして、それを具体的な仕様に落とし込むって、案外難しいもの。
パーツの一覧表とにらめっこしながら、各々、自分の改造プランとそれに必要なパーツの購入品目をリストアップし、合計費用を計算していきます。
このプロセスは、実はお金の勉強や、コミュニケーションの練習も兼ねているよ。
お家の人に、ただ「欲しいから買って!」とお願いするのと、「自分のサッカーをこういう方向性で強くしたい。そのためには〇〇と〇〇が必要で、お金が〇〇円足りんのやさ」と説明するのとでは、どっちが気持ちよくお金を出せるでしょうか?
相手は家族だけど、これもひとつの交渉です。
その場で早速、お母さんに電話をかけていた猛者もいましたよ(笑)。みんな、欲しいパーツを買ってもらえるといいですね!
今日は夏休み期間を挟んで久々の講座だったので、先輩たちと親善試合。やっぱり強いなぁ〜。
次回は 10月!注文した部品が届き、次はレーザーカッターやはんだごてといった新たな道具も使いながら、実際に改造を始めていきます。お楽しみに♪
本講座は、株式会社メカトロニクス様と株式会社駿河屋魚一様のご協賛、および、高山市市民活動事業補助金の補助を受けて開催しています